フリーランスエージェントを選ぶとき、最も気になるのに最も見えにくいのが「手数料(マージン)」と「報酬がいつ振り込まれるか(支払いサイト)」です。そこでフリーランスワークスでは、主要なフリーランスエンジニア向けエージェント17社について、マージンの公開状況・支払いサイト・運営会社・上場区分を横断的に調査しました。
結論を先にお伝えすると、マージン率を完全公開しているのは17社中わずか1社(PE-BANK)。そして支払いサイトは最短15日から最長40日まで、最大25日もの開きがありました。この記事では、その調査データを表とグラフで公開します。データは出典を明記いただければ引用いただいて構いません(詳細は末尾の「データの引用について」を参照)。
調査の概要(方法とデータの扱い)
手数料と生涯の手取りの関係は、フリーランスと会社員の生涯賃金・年収推移の比較データで試算しています。
本調査は、フリーランスエンジニア向けエージェント17社を対象に、2026年7月時点で各社が公開している情報、および第三者比較データベース(フリーランスボード、フリーランスHub等)の公開情報を横断的に収集してまとめたものです。
- 対象: エンジニア・IT人材向けを中心とした主要フリーランスエージェント17社
- 調査時点: 2026年7月
- 項目: マージン率、マージン公開状況、支払いサイト(日数)、運営会社、上場区分、報酬保障制度
- 注意: マージン率は業務委託契約のため法的な開示義務がなく、大半が非公開です。そのため本調査では、比較的検証しやすい「支払いサイト」「運営会社」「上場区分」を客観指標の中心に据えています。数値の裏取りが弱い項目は「要確認」と明記しました。
なお、正社員を派遣する派遣会社は労働者派遣法第23条第5項によりマージン率の情報公開が義務付けられていますが、フリーランス向けの業務委託契約にはこの規定は適用されません。これが「フリーランスエージェントのマージンが見えにくい」構造的な理由です。
調査結果①:マージンを完全公開しているのは17社中1社だけ
まず最も注目すべき結果が、マージン(手数料率)の公開状況です。

17社を「完全公開・一部開示・非公開」で分類したところ、内訳は以下の通りでした。
| 公開区分 | 社数 | 割合 | 該当エージェント |
|---|---|---|---|
| 完全公開 | 1社 | 約6% | PE-BANK(8〜12%) |
| 一部開示 | 2社 | 約12% | ITプロパートナーズ、テクフリ(※媒体情報・要確認) |
| 非公開 | 14社 | 約82% | レバテック、Midworks、ギークスジョブ ほか |
マージン率を明確な数字で完全公開しているのはPE-BANKただ1社で、全体の約6%にすぎません。8割超のエージェントはマージンを非公開としています。「利用料無料」と書かれていても、それはフリーランスから直接手数料を取らないという意味であり、クライアントの支払い額からマージンが差し引かれている点は変わりません。“無料”と”マージンゼロ”は別物だと理解しておく必要があります。
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調査結果②:支払いサイトは15日〜40日、最大25日の開き
次に、報酬が実際に振り込まれるまでの日数「支払いサイト」です。フリーランスにとって資金繰りに直結する、極めて実務的な指標です。

支払いサイトが判明した15社を集計した結果は以下の通りです。
- 最短: 15日(レバテックフリーランス、クラウドテック、テックストック)
- 最長: 40日(PE-BANK、プロフェッショナルハブ)
- 中央値: 30日 / 平均: 約27日
- 最短と最長の差: 25日
同じ月単価でも、支払いサイトが15日と40日では、独立直後の資金繰りに大きく影響します。特にフリーランスになりたての時期は、支払いサイトの短いエージェントを1社は押さえておくとキャッシュフローが安定します。
支払いサイト15日クラスのエージェントは、上場企業が運営しているケースが多いのも特徴です。財務基盤が安定しているほど、早い支払いサイトを維持しやすいと考えられます。
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調査結果③:17社の完全比較データ一覧
調査した17社の全データを一覧表にまとめました。「非公開」「不明」「要確認」も正直に記載しています。
| エージェント | マージン | 公開状況 | 支払いサイト | 運営会社 | 上場区分 | 報酬保障 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| PE-BANK | 8〜12% | 完全公開 | 40日 | 株式会社PE-BANK | 非上場 | なし |
| レバテックフリーランス | 非公開 | 非公開 | 15日 | レバテック株式会社 | 非上場 | なし |
| Midworks | 非公開(実質推定13〜15%) | 非公開 | 20日※ | Branding Engineer | 親会社が東証グロース | あり(最大60%) |
| ギークスジョブ | 非公開 | 非公開 | 25日 | ギークス株式会社 | 東証スタンダード | なし |
| ITプロパートナーズ | 非公開(12/10/8%説※要確認) | 一部開示 | 35日 | 株式会社Hajimari | 非上場 | なし |
| テクフリ | 一部案件で10%訴求※要確認 | 一部開示 | 30日 | 株式会社アイデンティティー | 非上場 | なし |
| フォスターフリーランス | 非公開 | 非公開 | 30日 | 株式会社フォスターネット | 非上場 | 不明 |
| Findy Freelance | 非公開 | 非公開 | 30日 | ファインディ株式会社 | 非上場 | 不明 |
| HiPro Tech | 非公開 | 非公開 | 30日 | パーソルキャリア株式会社 | 親会社が東証プライム | 不明 |
| クラウドテック | 非公開 | 非公開 | 15日 | 株式会社クラウドワークス | 東証グロース | 不明 |
| テックストック | 非公開 | 非公開 | 15日 | INTLOOP株式会社 | 東証グロース | 不明 |
| FLEXY | 非公開 | 非公開 | 30日 | 株式会社サーキュレーション | 非上場※ | 所得補償制度 |
| Relance | 非公開 | 非公開 | 25日 | 株式会社スリーシェイク | 非上場 | 不明 |
| プロフェッショナルハブ | 非公開 | 非公開 | 40日 | エル・ティー・エス リンク | 親会社が東証上場 | 不明 |
| フリーランスキャリア | 非公開 | 非公開 | 非公開 | 株式会社マノア・リノ | 非上場 | 不明 |
| エンジニアファクトリー | 非公開 | 非公開 | 30日 | アイムファクトリー株式会社 | 非上場 | 不明 |
| Anycrew | 非公開 | 非公開 | 不明 | エニィクルー株式会社 | 非上場 | 要確認 |
※印は情報源が第三者媒体で、公式一次情報での裏取りが十分でない項目です。最新かつ正確な条件は必ず各社公式サイト・面談でご確認ください。
支払いサイト別・主要エージェントのデータ解説
一覧表だけでは各社の位置づけが見えにくいため、支払いサイトの短い順に、調査で分かった特徴を解説します。
支払いサイト15日クラス(最短)
レバテックフリーランス(レバテック株式会社)は業界最大級の案件数を持ち、エンド直案件が多いため提示単価が高い傾向にあります。マージンは非公開ですが、単価の高さで実質的な手取りをカバーするタイプです。支払いサイト15日は資金繰りの面でも優秀です。
クラウドテック(株式会社クラウドワークス/東証グロース)は、上場企業であるクラウドワークスが運営し、支払いサイト15日を実現しています。リモート案件の比率が高く、在宅中心で働きたいフリーランスと相性が良いのが特徴です。
テックストック(INTLOOP株式会社/東証グロース)も支払いサイト15日クラスで、保有案件8,000件以上を公称しています。上場企業運営で財務基盤が安定している点が、早い支払いサイトの背景にあると考えられます。
支払いサイト20〜25日クラス
Midworks(Branding Engineer/親会社TWOSTONE&Sonsが東証グロース)は支払いサイト20日に加え、契約単価の最大60%を保障する報酬保障制度を持つ点が最大の特徴です。マージンは非公開ですが、交通費・書籍費の補助など福利厚生を金額換算すると実質的な負担は軽くなります。独立直後で「収入が不安定になるのが怖い」層に向いています。
ギークスジョブ(ギークス株式会社/東証スタンダード)は上場企業運営で、支払いサイト25日は業界でも早い部類です。コンプライアンス意識の高い上場企業として、安定した取引が期待できます。
Relance(株式会社スリーシェイク/IPO準備中)は支払いサイト25日で、インフラ・SRE領域の案件に強みがあります。
支払いサイト30〜40日クラス
HiPro Tech(パーソルキャリア/親会社パーソルHDが東証プライム)は企業との直接契約型で「中間マージンが発生しない」ことを標榜しています。大手人材企業グループの運営という信頼性が強みです。
PE-BANK(株式会社PE-BANK)は支払いサイト40日と長めですが、17社で唯一マージンを完全公開(8〜12%)しており、透明性では群を抜きます。1989年創業の老舗で、全国12拠点による地方案件の強さも特徴です。
プロフェッショナルハブ(エル・ティー・エス リンク/親会社が東証上場)は支払いサイト40日で、コンサル・上流工程の案件を扱います。
手取りシミュレーション:支払いサイトとマージンの影響
同じ「クライアント発注額 月90万円」の案件でも、マージン率によって手取りは変わります。
| マージン率 | 月間マージン | 月間手取り | 年間手取り |
|---|---|---|---|
| 8%(PE-BANK長期利用) | 7.2万円 | 82.8万円 | 993.6万円 |
| 12%(PE-BANK初回) | 10.8万円 | 79.2万円 | 950.4万円 |
| 20%(業界平均水準) | 18万円 | 72万円 | 864万円 |
| 30%(高マージン) | 27万円 | 63万円 | 756万円 |
マージン8%と30%では年間で約238万円の差になります。ただし、これはクライアント発注額が同じ場合の比較です。実際にはエージェントごとに発注単価が異なるため、「マージン率が低い=手取りが高い」とは限らない点に注意してください。マージン率が高くても、エンド直で発注単価の高い案件を持つエージェントなら、結果的に手取りが多くなることもあります。
支払いサイトは手取り額そのものは変えませんが、入金までの期間=資金繰りに直結します。独立直後は特に、支払いサイトの短いエージェントを確保しておくと安心です。
データから読み取れる3つの示唆
示唆①:マージン非公開が「業界の標準」
17社中14社が非公開という結果は、「マージンを聞いても教えてもらえないのが普通」であることを示しています。したがって、マージン率そのものを比較軸にするのは現実的ではありません。重要なのは「提示された単価(手取り)」で比較することです。マージン率20%でもエンド直で単価が高ければ、マージン率10%の二次請けより手取りが多いことは珍しくありません。マージン率の考え方は「フリーランスエージェントのマージン比較|相場と仕組み」で詳しく解説しています。
示唆②:透明性を重視するならPE-BANK一択
「いくら抜かれているか明確にしたい」という透明性を最優先するなら、マージンを完全公開しているPE-BANKが現状ほぼ唯一の選択肢です。ただし支払いサイトは40日と長めなので、資金繰りとのバランスは考慮が必要です。
示唆③:資金繰り重視なら支払いサイト15日クラス
独立直後で手元資金に不安がある場合は、支払いサイト15日のレバテックフリーランス・クラウドテック・テックストックが有力です。いずれも上場企業(またはその関連)が運営しており、支払いの安定性という点でも安心感があります。
ITプロパートナーズに無料登録するなぜマージンだけで比較してはいけないのか:商流の話
マージン率が非公開である以上、比較の軸は「手取り額」になります。そして手取りを左右する最大の要因が、実は商流(しょうりゅう)の深さです。
商流とは、クライアント(発注元=エンド企業)からフリーランスに案件が届くまでに、いくつの会社を経由しているかを表します。
- エンド直(一次請け): クライアント → エージェント → フリーランス。中間マージンが1社分のみで、手取りが高くなりやすい。
- 二次請け: クライアント → 元請け → エージェント → フリーランス。中間に1社増え、その分単価が削られる。
- 三次請け以降: さらに中間業者が増え、同じ業務でも手取りが大きく下がる。
たとえば、マージン率10%を掲げるエージェントでも、その案件が二次請け・三次請けであれば、元請けの段階ですでに単価が削られています。逆に、マージン率20%でもエンド直案件であれば、中間搾取がない分だけ発注単価が高く、結果的に手取りが多くなることがあります。
つまり、「マージン率10%(二次請け)」より「マージン率20%(エンド直)」のほうが手取りが多いというケースは珍しくありません。レバテックフリーランスやHiPro Techのように「エンド直案件の多さ」を強みにするエージェントが評価されるのは、この商流の浅さが手取りに直結するためです。面談時には「この案件はエンド直か、それとも何次請けか」を確認するとよいでしょう。
本調査の信頼性について(対象選定と更新方針)
本調査は、フリーランスエンジニアが実際に検討対象にすることの多い主要エージェントを網羅する形で17社を選定しました。選定にあたっては、案件数・知名度・エンジニア向け案件の有無を基準としています。
データは各社公式サイトを一次情報として優先し、公式で確認できない項目は第三者比較データベース(フリーランスボード、フリーランスHub等)や各社紹介メディアの公開情報で補完しました。補完した項目や裏取りが十分でない数値は「※要確認」と明記し、断定を避けています。マージン率・支払いサイト・案件数などは市況や各社方針により変動するため、本データは2026年7月時点のスナップショットとしてご覧ください。今後、条件の大きな変更が確認され次第、更新していく予定です。
手取りを最大化するエージェントの選び方
このデータを踏まえた、実践的な選び方は次の通りです。
- マージン率ではなく提示単価で比較する — 複数社に登録し、同じスキルセットでいくらの単価を提示されるか横並びで確認する
- 支払いサイトの短い1社を必ず確保する — 資金繰りの保険として15〜25日クラスを1社
- 報酬保障の有無を確認する — 独立直後や案件が途切れるリスクに備えるならMidworksのような保障付きを組み合わせる
- 2〜3社の複数登録を基本にする — 1社だけだと単価が適正か判断できない
複数登録の具体的なメリットは「フリーランスエージェントは複数登録すべき?」で、各社の総合比較は「フリーランスエージェントおすすめ比較」で解説しています。
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よくある質問(FAQ)
フリーランスエージェントの手数料(マージン)の相場は?
業界の相場は概ね20〜30%とされています。ただし本調査の通り大半が非公開のため、正確な数字は案件ごとに確認するしかありません。マージンを完全公開しているのはPE-BANK(8〜12%)が代表例です。
なぜ多くのエージェントはマージンを公開しないの?
業務委託契約にはマージン開示の法的義務がないこと、案件ごとに商流や条件が異なり一律の数字を出しにくいこと、価格競争を避けたいことが主な理由です。派遣契約(派遣会社)と違い、フリーランス向けには開示義務が及びません。
支払いサイトが短いエージェントはどこ?
本調査では、レバテックフリーランス・クラウドテック・テックストックが15日と最短でした。次いでMidworks(20日)、ギークスジョブ・Relance(25日)が続きます。
マージンが低いエージェントを選べば手取りは増える?
必ずしもそうとは限りません。マージン率が低くても二次請け・三次請けの案件では発注単価自体が低く、結果的に手取りが変わらないこともあります。「マージン率」ではなく「最終的な手取り額」で比較するのが鉄則です。
このデータは信頼できる?
各社の公開情報と第三者比較データベースを横断して2026年7月時点で集計したものです。ただしマージン・案件数などは変動が激しく、非公開項目も多いため、最終的な条件は必ず各社公式サイトと面談でご確認ください。本記事は情報提供を目的としており、特定サービスへの登録を保証・推奨するものではありません。
データの引用について
本調査データ(グラフ・比較表を含む)は、出典として「フリーランスワークス(https://freelance-works.jp/ )」を明記し、当該記事へのリンクを設置いただける場合に限り、引用・転載いただけます。メディア・ブログ・研究などでご活用ください。グラフ画像もそのままご利用いただけます。数値は2026年7月時点の調査結果である旨を併記いただけますと幸いです。
まとめ
フリーランスエージェント17社を独自調査した結果、マージンを完全公開しているのはPE-BANK1社のみ(約6%)、支払いサイトは15〜40日で最大25日の開きがあることが分かりました。マージンは大半が非公開である以上、「提示単価(手取り)」と「支払いサイト」で比較し、2〜3社に登録して条件を横並びで見るのが、手取りを最大化する現実的な方法です。透明性ならPE-BANK、資金繰りなら支払いサイト15日クラス、保障ならMidworksと、目的に応じて使い分けてください。
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出典・参考データ
本調査は、以下の各社公式サイトおよび第三者比較データベースの公開情報(2026年7月時点)をもとに集計しました。
- 各フリーランスエージェントの公式サイト(PE-BANK、レバテックフリーランス、Midworks、ギークスジョブ、ITプロパートナーズ ほか)
- レバテック株式会社 プレスリリース・企業情報(levtech.co.jp)
- フリーランスボード(支払いサイト・運営会社の横断データベース)(freelance-board.com)
- フリーランスHub(エージェント比較データベース)(freelance-hub.jp)
- HonNe「フリーランスエージェントおすすめ比較」(エン・ジャパン系メディア)(exidea.co.jp)
- TWOSTONE&Sons(Midworks運営)ニュースリリース(twostone-s.com)
- 日本取引所グループ(上場区分の確認)(jpx.co.jp)
※マージン率・案件数などは非公開・変動する項目が多く、第三者媒体の数値には「要確認」と付記しています。最新の正確な条件は各社公式サイトでご確認ください。
免責事項: この記事は2026年7月時点の各社公開情報および第三者比較データベースをもとに作成した独自調査です。マージン率・支払いサイト・案件数などの条件は変動し、非公開・要確認の項目も含まれます。最新かつ正確な条件は必ず各社公式サイトおよび面談でご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定サービスへの登録を推奨するものではありません。

