【2026-2027年】フリーランスの税制改正で手取りはどう変わる?改正一覧と節税インパクト独自試算

【2026-2027年】フリーランスの税制改正で手取りはどう変わる?改正一覧と節税インパクト独自試算

2026年から2027年にかけて、フリーランス・個人事業主の手取りに関わる税制改正が相次いで実施されます。青色申告特別控除の拡大、iDeCo掛金上限の引き上げといった「有利になる改正」がある一方で、インボイス制度の2割特例終了という「負担が増える改正」もあります(ただし個人事業主には、後継措置として「3割特例」が用意されました)。

そこでフリーランスワークスでは、2026〜2027年の主要な税制改正を一覧化し、それぞれが手取りにどう影響するかを独自に試算しました。結論として、青色申告控除の75万円化で年1.5〜4.3万円、小規模企業共済とiDeCoをフル活用すれば年最大74.8万円の節税が可能になります。この記事では、その試算データを表とグラフで公開します。出典を明記いただければ引用いただいて構いません(詳細は末尾を参照)。

2026-2027年 フリーランス税制改正の一覧

税・手取りと生涯収入の関係は、フリーランスと会社員の生涯賃金・年収推移の比較データで試算しています。

まず、フリーランスに影響する主な改正を一覧で整理します。

改正項目内容適用時期手取りへの影響
青色申告特別控除の拡大最高65万円 → 75万円2027年分の申告からプラス(節税拡大)
iDeCo掛金上限の引き上げ自営業者 月6.8万円 → 月7.5万円2026年12月分(2027年1月引落)からプラス(節税拡大)
iDeCo加入可能年齢の引き上げ65歳未満 → 70歳未満2026年12月改正プラス(拠出期間延長)
インボイス「2割特例」の終了納税額を売上税額の2割に軽減する経過措置が終了(個人事業主は2026年分が最後)2026年9月30日を含む課税期間までマイナス(ただし2027-2028年分は3割特例で緩和)
インボイス「3割特例」の新設納税額を売上税額の3割に軽減。個人事業主のみ・事前届出不要(法人は対象外)2027年分・2028年分の2年間マイナス幅を縮小(2割→3割)

以下、それぞれの改正について手取りへの影響を試算していきます。

改正①:青色申告特別控除が65万→75万円に(2027年分から)

令和8年度税制改正により、青色申告特別控除の最高額が65万円から75万円に引き上げられます。適用は2027年分(令和9年分)の確定申告からです。

75万円控除を受けるための3要件

控除額が増える一方で、要件はこれまでより厳しくなります。次の3つをすべて満たす必要があります。

  1. 複式簿記で記帳していること
  2. e-Taxで電子申告すること
  3. 優良な電子帳簿の保存と届出を行っていること(訂正・削除履歴が残り、検索機能を満たす会計ソフトでの保存)

従来の65万円控除(e-Taxまたは電子帳簿保存)より一段ハードルが上がる点に注意が必要です。この要件を満たさない場合は55万円控除となります。

控除拡大による節税額の試算

控除が10万円増えることで、どれだけ税負担が減るかを課税所得帯別に試算しました(所得税率+住民税10%で概算)。

青色申告特別控除75万円による節税額(課税所得帯別・2026年試算)

課税所得税率(所得税+住民税)節税額(年)
195万円以下15%15,000円
195〜330万円20%20,000円
330〜695万円30%30,000円
695〜900万円33%33,000円
900〜1,800万円43%43,000円

控除額が10万円増えるだけで、課税所得の多い人ほど節税効果が大きくなります。まだ白色申告や55万円控除で申告している人は、2026年中に優良な電子帳簿の運用を開始しておくことが重要です(優良な電子帳簿はその年の1月1日から継続運用が必要なため、2027年分に間に合わせるには2027年1月開始=2026年中の準備が必須)。

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改正②:iDeCo掛金上限が月6.8万→7.5万円に(2026年12月から)

2026年12月分(2027年1月引落分)から、自営業者(国民年金第1号被保険者)のiDeCo掛金上限が月6万8,000円から月7万5,000円に引き上げられます(国民年金基金・付加保険料と合算した上限)。あわせて、加入可能年齢も65歳未満から70歳未満に拡大されます。

iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象です。上限が月7,000円上がることで、年間8万4,000円多く拠出でき、その分の節税が可能になります。たとえば課税所得330〜695万円(税率30%)の人が満額まで増額すれば、追加で年2万5,200円の節税になります。

改正③:小規模企業共済+iDeCoフル活用で年最大74.8万円の節税

iDeCoの上限引き上げで特に効果が大きいのが、小規模企業共済との併用です。

  • 小規模企業共済:月7万円(年84万円)まで、掛金全額が所得控除
  • iDeCo(改正後):月7.5万円(年90万円)まで、掛金全額が所得控除
  • 合計:月14.5万円・年174万円を所得控除できる

この年174万円をフル活用した場合の節税額を、課税所得帯別に試算しました。

小規模企業共済+iDeCoフル活用の年間節税額(課税所得帯別・2026年試算)

課税所得税率年間節税額
195万円以下15%約26.1万円
195〜330万円20%約34.8万円
330〜695万円30%約52.2万円
695〜900万円33%約57.4万円
900〜1,800万円43%約74.8万円

課税所得500万円クラス(税率30%)なら年約52万円、900万円クラスなら年約74.8万円もの節税になります。これは老後資金・廃業資金を積み立てながら税負担を減らせる、フリーランスにとって最強クラスの節税手段です。詳しい仕組みは「フリーランスの節税方法」「iDeCoとフリーランス」「小規模企業共済の活用」で解説しています。

ただし注意点として、掛金拠出は手元資金の拘束を伴います(iDeCoは原則60歳まで引き出せず、小規模企業共済も任意解約は元本割れのリスクがあります)。生活防衛資金を確保したうえで、無理のない範囲で活用してください。

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改正④:インボイス「2割特例」の終了と「3割特例」への移行(個人事業主のみ)

有利な改正が続く一方で、負担が増える改正もあります。インボイス制度で免税事業者から課税事業者になった人向けの経過措置「2割特例」が、2026年9月30日を含む課税期間をもって終了します。個人事業主の課税期間は暦年なので、2026年分(令和8年分)が2割特例の最後になります。

2割特例は、消費税の納付額を「売上にかかる消費税の2割」に軽減できる制度です。たとえば売上800万円(消費税80万円)の場合、2割特例なら納付は16万円で済みます。

ただし、2割特例が終わっても、いきなり簡易課税・原則課税の水準に戻るわけではありません。令和8年度税制改正大綱(令和7年12月19日 与党公表)で、後継措置として「3割特例」の新設が示されています。

3割特例とは|個人事業主限定・2年間・事前届出なし

3割特例は、納付額を「売上にかかる消費税の3割」に抑えられる経過措置です。要件は次のとおりです。

  • 対象者:基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下で、インボイス登録により免税事業者から課税事業者になった個人事業主
  • 法人は対象外:資本金や規模を問わず法人は適用できません。法人は当初の予定どおり2026年9月30日を含む課税期間で2割特例が終わり、延長もありません。法人化を検討している人にとっては、判断材料が1つ増えることになります
  • 対象年分:2027年分(令和9年分)・2028年分(令和10年分)の2年間限定
  • 納付額:売上にかかる消費税額の3割(売上税額の7割を仕入税額とみなす計算)。仕入側のインボイス保存も不要
  • 事前の届出は不要:確定申告書にその旨を付記するだけで適用できます(2割特例と同じ扱い)

売上800万円ケースで見る「2029年の崖」

同じ売上800万円(消費税80万円)のケースで、年分ごとの納付額がどう動くかを試算しました。IT・エンジニア系のフリーランスは簡易課税なら第5種(みなし仕入率50%)に該当することが多いため、2029年分以降は第5種で計算しています。

インボイス2割特例→3割特例→簡易課税による消費税納付額の推移(売上800万円・個人事業主・2026年試算)

年分適用できる制度消費税の納付額2026年分との差
2026年分2割特例(最後の年)16万円
2027年分3割特例24万円+8万円
2028年分3割特例24万円+8万円
2029年分以降簡易課税(第5種)40万円+24万円
売上800万円(消費税80万円)・個人事業主のケース/フリーランスワークス試算

負担増は「2027年」ではなく2029年分にまとめて来ます。3割特例が切れる2029年分から、同じ売上でも納付額が24万円→40万円へ一気に16万円増えるためです。2027・2028年の2年間は、この崖に備えて資金を積んでおく期間だと考えるのが現実的です。消費税の計算方式ごとの違いは「フリーランスの消費税」で詳しく比較しています。

簡易課税の届出期限が弾力化された(2026年中に急ぐ必要はない)

簡易課税制度は本来、適用したい課税期間が始まる前に「簡易課税制度選択届出書」を出す必要があります。しかし令和8年度税制改正大綱では、この期限も緩和されました。

2割特例・3割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間については、その翌課税期間に係る確定申告期限までに届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税を適用できます。つまり2028年分まで3割特例を使い、2029年分から簡易課税に切り替える場合、2029年分の確定申告期限(2030年3月)までに届出を出せば間に合う計算です。

「2026年中に急いで届出を出さないと不利になる」わけではありません。1年分の実績を見て、簡易課税と原則課税のどちらが有利かを確かめてから決められます。インボイス制度全体の流れは「フリーランスのインボイス制度」で解説しています。

なお、発注側の取り扱いも変わります。免税事業者からの仕入れについて認められている仕入税額控除の経過措置は、2026年10月以降80%控除から70%控除に縮小され、その後も段階的に引き下げられます。免税事業者のままでいる場合、取引先側の負担が少しずつ増える点は押さえておきましょう。

※3割特例・届出期限の弾力化・経過措置の見直しは、令和8年度税制改正大綱(令和7年12月19日 与党公表)に基づく内容です。最終的な取り扱いは法令・国税庁の公表資料をご確認ください。

その他:2026年の社会保険まわりの変更

税制以外にも、フリーランスの手取りに関わる社会保険まわりの変更があります。手取りを正確に把握するうえで、あわせて押さえておきましょう。

  • 子ども・子育て支援金の徴収開始:2026年4月から、医療保険料に上乗せする形で子ども・子育て支援金の徴収が段階的に始まります。国民健康保険料に少額が上乗せされ、年々増える見込みです。
  • 健康保険料率・介護保険料率の改定:協会けんぽ等の料率は毎年見直され、2026年も改定されています。国民健康保険は自治体ごとに料率が異なるため、お住まいの自治体の通知を確認してください。

これらは「負担がわずかに増える」方向の変更です。だからこそ、青色申告控除やiDeCo・共済といった節税策をしっかり使い、増える負担を相殺することが重要になります。

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改正を踏まえた2026年の準備チェックリスト

これらの改正に備えて、2026年中にやっておくべきことをまとめます。

  1. 優良な電子帳簿への対応:75万円控除に向け、JIIMA認証の会計ソフトで訂正・削除履歴が残る形の運用を2027年1月から始められるよう準備する
  2. e-Taxへの切り替え:まだ紙・郵送で申告している場合は電子申告に移行する
  3. iDeCoの増額手続き:上限引き上げに合わせて掛金増額を検討する
  4. 小規模企業共済への加入:未加入なら、iDeCoとの併用で節税枠を最大化する
  5. インボイス2割特例終了への備え:個人事業主は2027・2028年分に3割特例(事前届出不要)が使えるため、2026年中に慌てて簡易課税の届出を出す必要はない。まずは3割特例が終わる2029年分の負担増(試算では+24万円)を見込んで資金計画を立てる

よくある質問(FAQ)

青色申告控除の75万円はいつから?

2027年分(令和9年分)の確定申告からです。2028年2〜3月に行う申告が最初の対象になります。要件(複式簿記・e-Tax・優良な電子帳簿)は年間を通じた運用が必要なため、2026年中の準備が重要です。

iDeCoの上限はいくらになる?

自営業者(第1号被保険者)は月6万8,000円から月7万5,000円に引き上げられます(国民年金基金等と合算)。2026年12月分(2027年1月引落分)からの適用です。

小規模企業共済とiDeCoは両方入れる?

両方加入でき、掛金はどちらも全額が所得控除の対象です。改正後は合計で月14.5万円・年174万円まで所得控除でき、課税所得500万円なら年約52万円の節税になります。

インボイスの2割特例が終わると手取りは減りますか?

納税額は増えますが、個人事業主は段階的です。2割特例は2026年分で終わり、2027年分・2028年分は3割特例(個人事業主のみ・事前届出不要)が使えます。売上800万円(消費税80万円)のケースなら、納付額は16万円→24万円→(2029年分以降)40万円という推移です。法人は3割特例の対象外で、2026年9月30日を含む課税期間で2割特例が終わります。

この試算データは正確ですか?

改正内容は各社・公的情報で確認した2026年7月時点のものです。節税額は「所得税率+住民税10%」で掛金全額控除を前提にした概算であり、実際は各種控除や個別事情で変わります。正確な税額は税理士や国税庁の情報でご確認ください。

データの引用について

本試算データ(グラフ・表を含む)は、出典として「フリーランスワークス(https://freelance-works.jp/ )」を明記し、当該記事へのリンクを設置いただける場合に限り、引用・転載いただけます。メディア・ブログ・研究などでご活用ください。グラフ画像もそのままご利用いただけます。数値は2026年7月時点の試算である旨を併記いただけますと幸いです。

まとめ

2026〜2027年のフリーランス税制改正は、青色申告控除の75万円化(年1.5〜4.3万円の節税)とiDeCo上限引き上げという追い風がある一方、インボイス2割特例の終了という向かい風もあります。特に、小規模企業共済とiDeCoをフル活用すれば年最大74.8万円の節税が可能で、この効果は課税所得が高い人ほど大きくなります。有利な改正を取りこぼさず、負担増の改正には早めに備えるために、2026年中の準備を進めておきましょう。

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出典・参考データ

本試算は、以下の公的機関・専門メディアが公表する2026年7月時点の改正情報をもとに作成しました(節税額はフリーランスワークスが独自に試算)。

  • 国税庁「青色申告特別控除」「電子帳簿保存法」「インボイス制度の概要」(nta.go.jp
  • 令和8年度税制改正大綱(令和7年12月19日 与党公表):青色申告特別控除の75万円化、インボイス「3割特例」の新設、簡易課税制度選択届出書の提出期限の弾力化、免税事業者からの仕入れに係る経過措置の見直し
  • 弥生「優良な電子帳簿とは?2027年分から青色申告で最大75万円控除」(yayoi-kk.co.jp
  • freee「青色申告特別控除が最大75万円に(令和8年度税制改正)」(freee.co.jp
  • iDeCo公式・各証券会社の制度改正解説(2026年12月改正:掛金上限・加入年齢引き上げ)(マネックス証券 info.monex.co.jp / 楽天証券 dc.rakuten-sec.co.jp
  • 中小機構「小規模企業共済」(掛金上限・所得控除)(smrj.go.jp

※節税額は「所得税率+住民税10%・掛金全額控除」を前提にした概算です。正確な税額は個別事情により異なります。
※インボイス2割特例・3割特例に関する記述は、2026年8月20日時点で令和8年度税制改正大綱の内容を再確認して更新しています。


免責事項: この記事は2026年7月時点の公開情報に基づく独自試算です。節税額は所得税率+住民税10%・掛金全額控除を前提にした概算であり、実際の税額は各種控除・個別事情により異なります。税制は今後の改正で変わる可能性があるため、最新かつ正確な情報は国税庁の公式サイトや税理士にご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の税務アドバイスを構成するものではありません。