フリーランスの年金を徹底解説|国民年金・付加年金・iDeCo・国民年金基金の活用法と老後資金対策【2026年】

フリーランスの年金を徹底解説|国民年金・付加年金・iDeCo・国民年金基金の活用法と老後資金対策【2026年】

フリーランス(個人事業主)になると、会社員時代に加入していた厚生年金から国民年金に切り替わります。この切り替えによって、将来受け取れる年金額は大幅に減少します。会社員なら平均月額約15万円もらえるところ、フリーランスの国民年金だけでは満額でも月額約7万円が上限です。

「老後の年金が不安」「フリーランスの年金はいくらもらえるのか」と悩む方は多いのではないでしょうか。結論から言えば、フリーランスには国民年金に加えて付加年金・国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済という4つの上乗せ制度が用意されています。これらを正しく活用すれば、会社員に匹敵する、あるいはそれ以上の老後資金を準備することが可能です。

本記事では、フリーランスの年金制度の全体像から各制度の仕組みと選び方まで、2026年7月時点の最新情報に基づいて網羅的に解説します。

なお、年金制度は法改正により変更される可能性があるため、具体的な判断は年金事務所や税理士・社会保険労務士にご相談ください。

フリーランスの年金制度の全体像

フリーランス(個人事業主)と会社員では、加入する年金制度が根本的に異なります。まずは全体像を把握しましょう。

会社員とフリーランスの年金格差

日本の年金制度は「2階建て」と表現されます。1階部分が全国民共通の国民年金(基礎年金)、2階部分が会社員・公務員のための厚生年金です。

会社員の場合、国民年金と厚生年金の両方に加入するため、老後には基礎年金+厚生年金の2階建てで年金を受給できます。一方、フリーランス(第1号被保険者)が加入するのは国民年金のみです。つまり、1階部分しかありません。

👉 フリーランスと正社員どっちがいい?年収・手取り・働き方・リスクを徹底比較【2026年版】

この差を具体的な受給額で比較すると、以下のようになります。

項目会社員(厚生年金あり)フリーランス(国民年金のみ)
加入する年金国民年金+厚生年金国民年金のみ
保険料負担労使折半(会社が半額負担)全額自己負担
月額受給額(目安)平均約15.1万円約7万円(満額)
年間受給額(目安)平均約181万円約84.7万円(満額)

月額で約8万円、年間で約96万円の差です。仮にフリーランスが65歳から90歳まで25年間年金を受け取るとして、会社員との差は累計で約2,400万円にもなります。

なお、実際の国民年金の平均受給月額は約5万9,431円です。40年間すべて納付して満額を受け取っている方は少数派であり、未納期間がある場合はさらに受給額が減ります。

フリーランスが活用できる上乗せ制度

国民年金だけでは老後資金が不足するのは明らかです。しかし、フリーランスには以下の上乗せ制度が用意されています。

  1. 付加年金 — 月額400円の追加保険料で年金を増額できる制度
  2. 国民年金基金 — 国民年金に上乗せする終身年金・確定年金
  3. iDeCo(個人型確定拠出年金) — 自分で運用する私的年金、掛金全額が所得控除
  4. 小規模企業共済 — フリーランスの退職金制度、掛金全額が所得控除

これらを組み合わせることで、フリーランスでも会社員の厚生年金に相当する老後資金を準備できます。以下、それぞれの制度がどのように機能するのかを詳しく解説します。

フリーランスの国民年金|保険料・受給額の基礎知識

すべての土台となるフリーランスの国民年金について正確に理解しておきましょう。

国民年金の保険料と受給額

2026年度の国民年金保険料は月額17,510円です。この保険料は毎年改定され、前年度から若干の増額となっています。年間の保険料は210,120円です。

国民年金の受給額は、保険料を納付した期間に応じて決まります。20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)すべて納付した場合の満額は、2026年度で月額7万608円(年額約84.7万円)です。前年度の月額6万9,308円から1,300円の増額となりました。

納付期間年間受給額(目安)月額受給額(目安)
40年(480ヶ月)約847,000円約70,600円
35年(420ヶ月)約741,000円約61,800円
30年(360ヶ月)約635,000円約53,000円
25年(300ヶ月)約530,000円約44,100円

保険料の納付方法と前納割引

国民年金の保険料は口座振替、クレジットカード払い、納付書払いの3通りの方法で納付できます。特に注目したいのが「前納割引」です。

  • 2年前納(口座振替) — 約15,000円程度の割引
  • 1年前納(口座振替) — 約4,000円程度の割引
  • 6ヶ月前納(口座振替) — 約1,000円程度の割引
  • 当月末振替(早割) — 月額50円の割引

2年前納を利用すれば約15,000円の割引になります。割引額自体は大きくありませんが、確実に保険料を節約できる仕組みです。また、前納した保険料は全額がその年の社会保険料控除の対象になるか、各年分に按分して控除するかを選択できます。

👉 フリーランスの節税方法7選|小規模企業共済・iDeCo・ふるさと納税を活用して手取りを最大化【2026年】

保険料の免除・猶予制度

収入が不安定なフリーランスにとって重要なのが、保険料の免除・猶予制度です。所得に応じて以下の段階で保険料が免除されます。

  • 全額免除 — 前年所得が(扶養親族の数+1)×35万円+32万円以下の場合
  • 4分の3免除 — 前年所得が88万円+扶養親族等控除額以下の場合
  • 半額免除 — 前年所得が128万円+扶養親族等控除額以下の場合
  • 4分の1免除 — 前年所得が168万円+扶養親族等控除額以下の場合
  • 納付猶予 — 50歳未満で本人の所得が一定額以下の場合

免除期間も年金受給資格期間(10年)には算入されます。ただし、免除期間の年金額は全額納付の場合より減額されるため、余裕ができたら追納(過去10年以内の免除分を後から納付)することをおすすめします。

未納のリスク

「どうせ将来年金はもらえないだろう」と保険料を未納にするのは非常にリスクが高い行動です。未納のデメリットは以下のとおりです。

  • 老齢基礎年金の受給額が減る:未納1ヶ月あたり年間約1,800円の受給額が減少
  • 障害基礎年金を受給できない可能性がある:直近1年間に未納がある場合や、納付済期間が加入期間の3分の2未満の場合、障害基礎年金が受給できない
  • 遺族基礎年金を受給できない可能性がある:同様の条件で遺族基礎年金も受給できなくなる
  • 付加年金やiDeCoに加入できない:国民年金の未納がある場合、これらの上乗せ制度に加入できないケースがある

特に障害基礎年金のリスクは見落としがちです。事故や病気で障害を負った場合に年金が受給できないことは、老後以前の大きなリスクです。国民年金は「老後のための保険」であると同時に「障害・死亡に対する保険」でもあることを認識しておきましょう。

👉 フリーランスの保険おすすめガイド|健康保険・賠償責任保険・所得補償保険の選び方を徹底解説【2026年】

付加年金|月400円で年金を増やせる最強制度

付加年金は、フリーランスが最も手軽に年金額を増やせる制度です。コストパフォーマンスの観点では、他のどの制度よりも優れています。

付加年金の仕組み

付加年金の仕組みは極めてシンプルです。

  • 追加保険料:月額400円(年間4,800円)
  • 受給時の増額:200円×付加保険料納付月数(年額)
  • 受給開始:65歳から(老齢基礎年金と一緒に受給)

たとえば、20年間(240ヶ月)付加保険料を納付した場合、追加で支払う保険料の総額は400円×240ヶ月=96,000円です。一方、受給時の年金増額分は200円×240ヶ月=48,000円(年額)です。つまり、2年間受給すれば支払った保険料の元が取れ、3年目以降はすべてプラスになります。

付加年金の具体的な効果

納付期間別の効果を表にまとめます。

納付期間追加保険料の総額年金増額分(年額)元が取れる期間
10年(120ヶ月)48,000円24,000円2年
20年(240ヶ月)96,000円48,000円2年
30年(360ヶ月)144,000円72,000円2年
40年(480ヶ月)192,000円96,000円2年

どの期間でも2年で元が取れるのが付加年金の大きな特徴です。仮に65歳から90歳まで25年間受給すると、40年間納付した場合の受給総額は96,000円×25年=2,400,000円となり、支払った保険料192,000円の約12.5倍です。

付加年金の注意点

付加年金には以下の制約があります。

  • 国民年金基金との併用ができない:付加年金と国民年金基金はどちらか一方しか加入できない(iDeCoとの併用は可能)
  • 第1号被保険者のみ加入可能:会社員(第2号)や配偶者の扶養に入っている方(第3号)は加入できない
  • 保険料免除期間は加入できない:保険料の免除・猶予を受けている期間は付加年金に加入できない

国民年金基金との併用ができない点は特に重要です。月400円の付加年金と、より大きな上乗せが可能な国民年金基金のどちらを選ぶかは、後述の国民年金基金の項目で詳しく比較します。

国民年金基金|国民年金への上乗せ年金

国民年金基金は、国民年金に上乗せして給付を受けられる公的な年金制度です。フリーランスの「2階部分」に相当します。

国民年金基金の仕組み

国民年金基金は、加入時の年齢と性別、選択する年金の型(終身年金A型・B型、確定年金I〜V型)によって掛金と受給額が決まります。

主な特徴は以下のとおりです。

  • 掛金上限:月額68,000円(iDeCoとの合算で68,000円が上限)
  • 掛金は全額社会保険料控除の対象:所得税・住民税の控除が受けられる
  • 終身年金を選択可能:生きている限り年金を受給できる
  • 加入は任意:自営業者・フリーランス(第1号被保険者)が対象

掛金と受給額の目安

国民年金基金の掛金と受給額は加入時の年齢によって大きく異なります。以下は終身年金A型(15年保証付き)の目安です。

加入時の年齢月額掛金(1口目)年間受給額(1口目・65歳から)
30歳約10,000〜12,000円約24,000〜30,000円
35歳約13,000〜15,000円約24,000〜30,000円
40歳約17,000〜20,000円約24,000〜30,000円
45歳約22,000〜26,000円約24,000〜30,000円

年齢が高くなるほど月額掛金が高くなるため、加入するなら早いほうが有利です。1口目は必ず終身年金(A型またはB型)を選択し、2口目以降は終身年金と確定年金を自由に組み合わせられます。

国民年金基金の節税効果

国民年金基金の掛金は全額が社会保険料控除の対象です。たとえば月額30,000円を掛けた場合、年間360,000円の所得控除が受けられます。

課税所得500万円のフリーランスが月額30,000円を掛けた場合、所得税率20%+住民税率10%で年間約108,000円の節税効果があります。

👉 フリーランスの確定申告のやり方|初めてでも迷わない手順・必要書類・節税対策を徹底解説【2026年最新】

付加年金と国民年金基金の比較

付加年金と国民年金基金は併用できないため、どちらかを選ぶ必要があります。

比較項目付加年金国民年金基金
月額掛金400円(固定)上限68,000円(選択制)
年金の型なし終身年金・確定年金を選択可能
受給額の増額200円×納付月数/年掛金と加入期間に応じた額
掛金の控除社会保険料控除社会保険料控除
iDeCoとの併用可能可能(合算で月68,000円まで)

月400円で手軽に始められる付加年金に対し、国民年金基金はより大きな上乗せが可能です。月額数万円の掛金を拠出する余裕があるなら国民年金基金を選択し、iDeCoと組み合わせるのが一般的です。一方、掛金を最小限に抑えたいなら付加年金とiDeCoの組み合わせが合理的です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)|フリーランスの年金上乗せ制度

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を拠出し、自分で運用商品を選んで老後資金を積み立てる私的年金制度です。フリーランスにとっては「節税しながら資産形成できる」最も強力な年金上乗せツールの一つです。

ここではiDeCoの制度概要と年金上乗せとしての位置づけを解説します。iDeCoの運用商品の選び方や金融機関の比較など、より詳しい活用法は以下の個別記事をご覧ください。

👉 フリーランスのiDeCo(個人型確定拠出年金)完全ガイド|掛金上限・節税効果・始め方・おすすめ金融機関を徹底解説【2026年】

iDeCoの基本スペック

フリーランス(第1号被保険者)のiDeCoの概要は以下のとおりです。

  • 掛金上限:月額68,000円(年間816,000円)。ただし国民年金基金等との合算
  • 掛金の控除:全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除
  • 運用益:非課税(通常の投資では約20%課税される運用益が非課税)
  • 受取方法:一時金(退職所得控除適用)または年金(公的年金等控除適用)
  • 受取開始:原則60歳以降(加入期間10年以上の場合)
  • 途中引出し:原則不可

iDeCoの3つの税制メリット

iDeCoには3段階の税制優遇があります。この「3重の節税効果」がiDeCo最大の魅力です。

  1. 掛金拠出時:全額所得控除。月68,000円なら年間816,000円の所得控除
  2. 運用期間中:運用益が非課税。通常なら約20%課税される利益がすべて再投資に回る
  3. 受取時:一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除が適用

👉 フリーランスの節税方法7選|小規模企業共済・iDeCo・ふるさと納税を活用して手取りを最大化【2026年】

掛金別の節税シミュレーション

月額掛金年間掛金課税所得400万円の節税額課税所得700万円の節税額
20,000円240,000円約72,000円約79,200円
40,000円480,000円約144,000円約158,400円
68,000円816,000円約244,800円約269,280円

月額68,000円を満額拠出すれば、課税所得400万円のフリーランスでも年間約24.5万円の節税効果です。これは掛金に対する実質的な「利回り保証」のようなもので、運用成績に関係なく得られるメリットです。

iDeCo加入の注意点

iDeCoには以下の注意点があります。

  • 原則60歳まで引出し不可:資金が長期間ロックされるため、生活資金が不足するリスクがある
  • 口座管理手数料がかかる:国民年金基金連合会への手数料(月105円)+信託銀行への手数料(月66円)=最低月171円がかかる
  • 国民年金基金との合算枠:月68,000円の上限は国民年金基金との合算。両方加入する場合は枠を分け合う必要がある
  • 受取時に課税される:退職所得控除・公的年金等控除は受けられるが、税金がゼロになるわけではない

特に「60歳まで引出し不可」は最大のデメリットです。収入が不安定なフリーランスの場合、生活防衛資金(生活費の6ヶ月〜1年分)を確保した上でiDeCoに加入することをおすすめします。

小規模企業共済|フリーランスの退職金制度

小規模企業共済は、フリーランスが「退職金」を積み立てるための制度です。年金とは異なりますが、老後資金の柱として非常に重要な制度です。

ここでは小規模企業共済の制度概要を解説します。加入手続きの詳細や掛金の増減額方法、受取シミュレーションなどは以下の個別記事で詳しく解説しています。

👉 フリーランスの退職金は小規模企業共済で作る|掛金・節税効果・受取額を徹底解説【2026年】

小規模企業共済の基本スペック

  • 掛金:月額1,000円〜70,000円(500円単位で設定可能)
  • 掛金の控除:全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除
  • 受取時期:廃業時、65歳以上で180ヶ月以上掛金を払い込んだ時など
  • 受取方法:一括受取(退職所得扱い)または分割受取(公的年金等の雑所得扱い)
  • 運用:中小機構が一括運用(自分で運用商品を選ぶ必要なし)

節税効果

掛金は全額所得控除になるため、iDeCoと同様に大きな節税効果があります。

月額掛金年間掛金課税所得500万円の節税額課税所得800万円の節税額
10,000円120,000円約36,000円約39,600円
30,000円360,000円約108,000円約118,800円
50,000円600,000円約180,000円約198,000円
70,000円840,000円約252,000円約277,200円

iDeCoとの違いと使い分け

小規模企業共済とiDeCoはどちらも掛金が全額所得控除になるため混同されがちですが、性質が異なります。

比較項目小規模企業共済iDeCo
月額上限70,000円68,000円(国民年金基金等と合算)
運用方法中小機構が一括運用自分で運用商品を選択
途中引出し任意解約可能(元本割れリスクあり)原則60歳まで不可
運用リスクなし(予定利率で運用)あり(元本割れの可能性)
貸付制度あり(掛金の範囲内で借入可能)なし
手数料なし口座管理手数料あり

最も大きな違いは「資金の流動性」です。小規模企業共済は任意解約すれば手元に戻せますが(20年未満の解約は元本割れリスクあり)、iDeCoは原則60歳まで引き出せません。また、小規模企業共済には「契約者貸付制度」があり、掛金の範囲内で低利の借入が可能です。急な資金需要にも対応できるため、フリーランスにとっては安心材料になります。

両方併用のすすめ

小規模企業共済とiDeCoは併用可能です。両方を満額で積み立てた場合、年間の所得控除額は840,000円+816,000円=1,656,000円です。課税所得500万円のフリーランスなら年間約50万円の節税効果があります。

ただし、月額合計138,000円の負担は軽くありません。以下のステップで段階的に加入するのがおすすめです。

  1. まず小規模企業共済に月額10,000〜30,000円で加入
  2. 収入が安定したらiDeCoに月額20,000円で加入
  3. 余裕が出てきたら双方を段階的に増額

👉 フリーランスエンジニアの年収・単価相場|職種・言語・経験年数別の実態と収入アップ戦略【2026年】

フリーランスが厚生年金に加入する方法|法人化のメリット

フリーランスが厚生年金に加入する方法が一つだけあります。法人化(マイクロ法人の設立)です。

法人化すると厚生年金に加入できる

法人の代表取締役は社会保険(健康保険+厚生年金)に強制加入となります。つまり、個人事業主からマイクロ法人に切り替えることで、国民年金から厚生年金に移行できます。

厚生年金に加入すると以下のメリットがあります。

  • 将来の年金受給額が増える:国民年金(満額で月約7万円)に加えて厚生年金(報酬月額に応じた額)が受給できる
  • 障害厚生年金・遺族厚生年金が適用される:障害等級3級でも年金が受給でき、遺族の保障も手厚くなる
  • 健康保険の給付が充実する:傷病手当金(病気・ケガで働けないときの収入補償)や出産手当金が利用できる

法人化の損益分岐点

法人化すると社会保険料の会社負担分が発生するため、一定以上の所得がないと負担が増えます。一般的に課税所得700〜900万円を超えるあたりから法人化のメリットが出始めるとされています。

法人化の判断ポイントをまとめると以下のとおりです。

  • 課税所得700万円超 — 法人化の検討を開始するライン
  • 法人設立費用 — 株式会社で約25万円、合同会社で約10万円
  • 法人住民税均等割 — 赤字でも最低年間約7万円
  • 税理士顧問料 — 年間20〜40万円が相場

法人化による厚生年金加入は、年金額の増加だけでなく、社会保険の充実や法人税率の適用など複合的なメリットがあります。ただし判断には専門的な知識が必要なため、税理士への相談を強くおすすめします。

👉 フリーランスの法人化を徹底解説|タイミング・費用・手続き・メリデメと2026年税制改正の影響

フリーランスの年金はいくらもらえる?受給額シミュレーション

ここまで紹介した各年金制度を組み合わせた場合、どの程度の受給額になるのかシミュレーションしてみましょう。老後資金全体の必要額や年齢別の資金計画については、以下の記事で詳しく解説しています。

👉 フリーランスエンジニアの老後資金計画|必要額シミュレーション&iDeCo・小規模企業共済・NISAで備える方法【2026年】

国民年金のみ(上乗せ制度なし)の場合

国民年金のみで老後を迎えた場合の受給額を確認します。

  • 年金受給額:月額約70,608円(満額の場合)
  • 生活費との差額(単身世帯の場合):平均月間支出約15万円との差は約79,000円
  • 25年間(65歳〜90歳)の不足総額:約79,000円×12ヶ月×25年=約2,370万円

つまり、国民年金だけでは約2,370万円の不足が生じます。この不足分を上乗せ制度で補うことが重要です。

上乗せ制度フル活用の場合

35歳のフリーランスが各制度を満額で活用するケースをシミュレーションします。

月額の積立内訳:

  • 国民年金保険料:17,510円(必須)
  • iDeCo:68,000円(満額)
  • 小規模企業共済:70,000円(満額)

月額合計:155,510円

30年間(35歳〜65歳)の積立総額と受取見込み:

制度月額30年間の積立総額受取見込み(概算)
国民年金17,510円約630万円年額約84.7万円(終身)
iDeCo(年利4%想定)68,000円約2,448万円約4,700万円(運用益含む)
小規模企業共済70,000円約2,520万円約2,600万円
合計155,510円約5,598万円約7,300万円+年金

iDeCoと小規模企業共済の一時金合計が約7,300万円、さらに国民年金の終身受給が年額約84.7万円です。これだけあれば、単身世帯の老後資金としては十分な水準に達します。

現実的なモデルケース

月額155,510円の積立は、年収600〜700万円クラスのフリーランスには負担が大きいでしょう。より現実的なモデルケースを示します。

年収600万円のフリーランスの場合(月額合計約6万円):

  • 国民年金保険料:17,510円
  • iDeCo:23,000円
  • 小規模企業共済:20,000円

30年間の運用結果(概算):

  • iDeCo(年利4%想定):積立総額828万円 → 約1,600万円
  • 小規模企業共済:積立総額720万円 → 約750万円
  • 国民年金:年額約84.7万円(終身)

これなら月約6万円の負担で、老後資金として約2,350万円+終身年金を確保できます。所得控除による年間の節税効果は約16万円(課税所得400万円の場合)で、実質的な負担はさらに軽くなります。

👉 フリーランスエンジニアの将来性|2026年の市場動向・AI時代に生き残る戦略・キャリアパスを解説

2026年の年金制度改正のポイント

2026年時点で把握しておくべき年金制度の改正動向をまとめます。

iDeCoの拠出限度額引き上げの議論

政府はiDeCoの制度拡充を進めており、拠出限度額の引き上げが議論されています。特に第1号被保険者(フリーランス)の上限引き上げや、受給開始年齢の柔軟化が検討課題となっています。

国民年金の加入期間延長の検討

現在60歳までとなっている国民年金の加入義務期間を65歳まで延長する案が検討されています。実現すれば保険料の負担期間が5年延びる一方、満額受給額も増加する見込みです。この改正が実現するかどうかは引き続き注視が必要です。

在職老齢年金の見直し

65歳以上で働きながら年金を受給する場合の減額基準(在職老齢年金)の見直しも議論されています。フリーランスとして65歳以降も働き続ける場合に影響する可能性があります。ただし、在職老齢年金は厚生年金加入者(会社員・法人代表)に適用される制度のため、個人事業主として活動し続けるフリーランスには直接の影響はありません。

マクロ経済スライドの影響

年金額の改定にはマクロ経済スライドが適用されるため、物価や賃金の上昇率ほどには年金額が増えない仕組みになっています。長期的に見れば年金の実質的な価値は目減りする可能性があるため、自助努力による資産形成(iDeCo・小規模企業共済等)の重要性はますます高まっています。

👉 フリーランスの消費税を徹底解説|免税・課税の判定基準から申告・納付・インボイス対応まで【2026年】

👉 フリーランスのインボイス制度対応ガイド|2026年最新の経過措置・登録判断・消費税計算まで徹底解説

会計ソフトで確定申告時の控除を漏れなく申告する方法

iDeCoや小規模企業共済の掛金を支払っていても、確定申告で正しく控除を申告しなければ節税効果はゼロです。控除の申告漏れを防ぐために、会計ソフトの活用が不可欠です。

年金関連の所得控除一覧

確定申告で申告できる年金関連の所得控除を整理します。

控除の種類対象となる制度申告に必要な書類
社会保険料控除国民年金保険料、国民年金基金社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
小規模企業共済等掛金控除iDeCo、小規模企業共済小規模企業共済等掛金払込証明書

これらの控除証明書は、毎年10〜11月頃に届きます。届いたら紛失しないように保管し、確定申告時に会計ソフトに入力します。

👉 フリーランスの確定申告のやり方|初めてでも迷わない手順・必要書類・節税対策を徹底解説【2026年最新】

会計ソフトでの入力方法

主要な会計ソフト(freee、やよい、マネーフォワード)には、所得控除を入力する専用の画面が用意されています。確定申告書を作成する際に「社会保険料控除」と「小規模企業共済等掛金控除」の欄に金額を入力するだけで、自動的に確定申告書に反映されます。

会計ソフトを使えば、複式簿記による帳簿付けから確定申告書の作成まで一気通貫で行えます。年金関連の控除だけでなく、青色申告65万円控除、経費の計上、医療費控除なども含めて漏れなく申告できるため、フリーランスであれば導入は必須です。

👉 フリーランスの会計ソフト比較|freee・やよい・マネーフォワードを徹底比較して選び方を解説【2026年】

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控除申告でよくあるミス

年金関連の控除で注意すべきミスは以下のとおりです。

  • 国民年金保険料の控除証明書の金額ずれ:控除証明書は10月時点の見込み額で発行されるため、11〜12月に追加納付した場合は見込み額と実際の納付額が異なることがある。その場合は翌年2月頃に届く「追加分の証明書」も必要
  • iDeCoの掛金を「生命保険料控除」に入力してしまう:iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」であり、「生命保険料控除」ではない
  • 国民年金基金の掛金の入力先を間違える:国民年金基金の掛金は「社会保険料控除」に入力する(iDeCoと同じ「小規模企業共済等掛金控除」ではない)
  • 前納した保険料の控除タイミングを間違える:国民年金を2年前納した場合、全額をその年の控除にするか各年に按分するか選択可能

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フリーランスの年金で今すぐやるべきアクション

ここまでの内容を踏まえ、フリーランスが今すぐ実行すべきアクションを段階別にまとめます。

ステップ1:国民年金の状況を確認する

まず「ねんきんネット」に登録し、自分の年金記録を確認しましょう。未納期間がないか、受給見込み額はいくらかを把握することが第一歩です。未納期間がある場合は追納を検討してください。

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ステップ2:付加年金またはiDeCoに加入する

次に、年金の上乗せ制度に加入します。まず手軽に始めるなら月400円の付加年金がおすすめです。より大きな上乗せと節税効果を狙うならiDeCoに加入し、月額20,000〜68,000円で積立を開始します。

ステップ3:小規模企業共済に加入する

小規模企業共済は年金とは別の「退職金」の積立ですが、老後資金の柱として非常に重要です。月額10,000〜30,000円からスタートし、収入の増加に合わせて増額していきましょう。

ステップ4:収入の増加に合わせて増額する

フリーランスとしての収入が増えてきたら、iDeCoと小規模企業共済の掛金を段階的に増額します。年収800万円以上であれば、両方を満額に近づけることで年間50万円以上の節税効果が得られます。

ステップ5:法人化を検討する

課税所得が700万円を超えたら、法人化による厚生年金加入を検討します。厚生年金に加入すれば国民年金の上乗せとして年金が増えるだけでなく、社会保険の保障も充実します。

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よくある質問(FAQ)

フリーランスの年金受給額はいくらですか?

国民年金のみの場合、40年間すべて保険料を納付した満額で年間約847,000円(月額約70,608円)です。ただし、これは40年間欠かさず納付した場合の金額であり、実際の平均受給月額は約5万9,431円です。未納期間があればその分だけ減額されます。iDeCoや国民年金基金で上乗せすれば、受給額を増やすことが可能です。

iDeCoと国民年金基金はどちらがおすすめですか?

一概には言えませんが、多くのフリーランスにはiDeCoのほうが使いやすいでしょう。理由は、運用商品を自分で選べるため期待リターンが高い可能性があること、金融機関(SBI証券・楽天証券等)で手軽に口座開設できること、そして運用益が非課税であることです。一方、運用リスクを取りたくない方や確定した年金額が欲しい方には国民年金基金が向いています。

付加年金とiDeCoは併用できますか?

併用可能です。ただし、付加年金と国民年金基金は併用できません。そのため、「付加年金+iDeCo」または「国民年金基金+iDeCo」のどちらかの組み合わせになります。なお、iDeCoと国民年金基金を併用する場合は、合算で月額68,000円が上限です。

小規模企業共済は年金ですか?

厳密には年金制度ではなく、フリーランスのための「退職金制度」です。廃業時や65歳以上で一定の条件を満たした場合に、積み立てた掛金を受け取れます。分割受取を選択すれば年金のように受け取ることも可能です。老後資金の柱として年金と合わせて活用するのがおすすめです。

年金保険料は経費にできますか?

国民年金保険料は事業の経費にはできませんが、確定申告で「社会保険料控除」として所得控除の対象になります。経費ではなく所得控除ですが、結果的に税負担が軽減される点は同じです。なお、従業員を雇用している場合に事業主が負担する社会保険料は経費として計上できます。

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国民年金を払えない場合はどうすればいいですか?

収入が少なく保険料を支払えない場合は、必ず免除・猶予の申請を行ってください。未納のまま放置すると障害基礎年金や遺族基礎年金が受給できなくなるリスクがあります。免除を受ければ、免除期間も受給資格期間に算入され、年金額も一部反映されます。後から収入が安定したら追納(過去10年以内の免除分を後払い)することで年金額を回復できます。

フリーランスから会社員に戻ったら年金はどうなりますか?

会社員に戻ると厚生年金に加入するため、フリーランス時代の国民年金加入期間と会社員時代の厚生年金加入期間は通算されます。iDeCoの掛金上限額は変わりますが(会社の企業年金制度による)、iDeCo自体は継続可能です。小規模企業共済は会社員になると加入資格を失うため、解約するか据え置く必要があります。

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まとめ

フリーランスの年金は国民年金のみで、満額でも月額約70,608円と、会社員の厚生年金(平均月額約15.1万円)と比べて大幅に少ない金額です。しかし、付加年金・iDeCo・国民年金基金・小規模企業共済の4つの上乗せ制度を活用すれば、会社員に匹敵する老後資金を準備することは十分に可能です。

特に重要なのは「早く始めること」です。iDeCoや小規模企業共済は掛金が全額所得控除になるため、始めた瞬間から節税効果が発生します。さらに、長期間の積立は複利効果で大きな差を生みます。30歳で始めるのと40歳で始めるのとでは、65歳時点の資産額に数百万円の差が出ることも珍しくありません。

まずは付加年金(月400円)の加入から始め、余裕が出てきたらiDeCoと小規模企業共済を追加する。この順序で着実に進めていけば、フリーランスでも安心して老後を迎えられる資金を築くことができます。

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